YOSHIKIさんの演奏で一躍有名になった、息をのむほど美しいクリスタルピアノ。その輝きに魅了され、詳しい特徴や値段について知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
この楽器の素材が、実は本物のクリスタルガラスではないことや、製造元が日本のカワイであることは意外と知られていません。また、yoshikiさんが愛用する1億円のモデル以外にも、中古で探すことはできるのか、特注でピンク色のピアノは作れるのか、といった疑問も浮かびますよね。
さらに、実際にクリスタルピアノを弾ける場所は日本にあるのか、クラシックのコンクールで使われることはあるのかなど、その実態は謎に包まれている部分も少なくありません。
この記事では、そんなクリスタルピアノに関するあらゆる情報を、専門的な視点から分かりやすく解き明かしていきます。
こんな方におすすめ
- YOSHIKIさんのピアノに憧れている
- クリスタルピアノの価格や詳細を知りたい
- ピアノの購入や展示情報を探している
- 楽器としての性能や特徴を深く理解したい
クリスタルピアノとYOSHIKIが紡ぐ輝きの伝説
この項の概要
- クリスタルピアノの素材はガラスではない?
- 本物の定義 聴衆を魅了する透明な音と外観の大きな特徴
- 日本の老舗メーカー「カワイ」が製造を担う
- なぜYOSHIKIはクリスタルピアノを愛用するのか
- 驚愕!クリスタルピアノの値段はいくら?
クリスタルピアノの素材はガラスではない?本物の定義

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「クリスタルピアノ」と聞くと、多くの人がクリスタルガラスでできた楽器を想像するかもしれません。しかし、実際にはその透明なボディの主成分は、高品質なアクリル樹脂です。
なぜガラスではないかというと、楽器としての実用性に理由があります。本物の鉛クリスタルガラスでグランドピアノほどの大きさの筐体を作ると、重量が過大になり、移動や設置が極めて困難になります。また、ガラスは衝撃に弱く、演奏の振動に耐える構造を作るのが難しいという側面も持ち合わせています。
一方で、アクリル樹脂はガラスに匹敵するほどの高い透明度を誇りながら、はるかに軽量で、耐久性や加工性に優れています。このため、ピアノという楽器に求められる構造的な強度と、クリスタルのような美しい外観を両立させるための最適な素材として選ばれているのです。
したがって、クリスタルピアノにおける「本物」とは、ガラス製であることではなく、いかに透明度が高く、美しく、そして楽器として完成度の高いアクリル樹脂製のピアノであるか、という点が基準になると考えられます。
聴衆を魅了する透明な音と外観の大きな特徴
クリスタルピアノが人々を惹きつける最大の理由は、その唯一無二の存在感にあります。
視覚的な特徴:光と演奏者を輝かせるデザイン
外観の最も大きな特徴は、言うまでもなくその透明性です。普段は木製の筐体に隠されているピアノの複雑な内部機構(アクションやフレーム)が透けて見えるため、楽器自体がまるで芸術作品のようなオーラを放ちます。
このデザインは、単に珍しいだけでなく、光の透過と反射を計算して「演奏者を最も美しく見せる」という明確な意図を持って設計されています。ステージの照明を浴びると、ピアノ全体が輝き、ピアニストを幻想的な光で包み込むのです。YOSHIKIさんのステージを思い浮かべると、その効果は一目瞭然でしょう。
音響的な特徴:クリアで澄んだ音色
アクリル樹脂は、伝統的なピアノに使われる木材とは音の響き方が異なります。木材が豊かで複雑な共鳴を生み出すのに対し、アクリルは素材の密度が高く硬いため、音が過度に共鳴せず、一音一音がクリアに聞こえる傾向があります。
この音は「フラット」や「共鳴が少ない」と表現されることもありますが、これは決して欠点ではありません。例えば、マイクを使って音を拾うポップスやロックのコンサート、あるいは反響が多いホールなどでは、この澄んだ音色が他の楽器の音と混ざりやすく、かえって音の輪郭がはっきりするという利点になるのです。
日本の老舗メーカー「カワイ」が製造を担うクリスタルピアノの世界において、日本の河合楽器製作所(カワイ)は、間違いなく中心的な役割を担うメーカーです。カワイは、世界で初めてクリスタルピアノを製品化したパイオニアとして知られています。
1970年代から透明なピアノの開発に着手しており、長年の研究開発で培われた技術とノウハウは他社の追随を許しません。カワイのクリスタルピアノは、単に見た目が美しいだけでなく、同社が誇る最高峰のグランドピアノ「Shigeru Kawai」の設計思想が取り入れられるなど、楽器としての高い品質を追求している点が特徴です。
YOSHIKIさんが長年愛用していることからも分かるように、その品質と芸術性には世界的な評価が集まっています。カワイが製造するクリスタルピアノは、まさに日本のものづくりの技術力と芸術的感性が融合した、特別な存在と言えるでしょう。
なぜYOSHIKIはクリスタルピアノを愛用するのか

出典:KAWAI公式サイト
X JAPANのリーダーであるYOSHIKIさんがクリスタルピアノを使い始めたのは1990年代のことです。彼がこのピアノを選んだ理由は、単にその美しさだけではないと考えられます。
YOSHIKIさんの音楽は、激しいロックと繊細なクラシックという両極端な要素を融合させているのが特徴です。クリスタルピアノの持つ、華やかで神秘的なビジュアルと、クリアで芯のあるサウンドは、彼の独特な世界観を表現するための完璧なパートナーだったのではないでしょうか。
テレビ番組やコンサートで彼が演奏する姿が放映されると、その圧倒的な存在感は瞬く間にお茶の間の知るところとなりました。YOSHIKIさんのパフォーマンスは、クリスタルピアノが持つ「魅せる楽器」としてのポテンシャルを最大限に引き出し、その知名度と人気を爆発的に高める大きなきっかけとなったのです。
彼の存在なくして、日本のクリスタルピアノの歴史を語ることはできません。
驚愕!クリスタルピアノの値段はいくら?
クリスタルピアノの値段は、その希少性や素材、ブランド価値を反映して、非常に高額です。モデルによって価格は大きく異なりますが、一般的な木製ピアノとは一線を画します。
2024年には、長年人気を博したカワイのCR-40Aがフルモデルチェンジされ、後継機として「CR-45」が登場しました。デザインや演奏性がさらに向上し、価格も1,000万円を超えるなど、クリスタルピアノは今もなお進化を続けています。
モデル名(メーカー) | 参考価格(税込) | 備考 |
---|---|---|
CR-45 (カワイ) | 1,089万円 | CR-40Aの後継機として2024年に発売された現行モデル。 |
CR-40A (カワイ) | 約830万円(税別) | 生産終了モデル。一般向けクリスタルピアノとして人気を博した。 |
YOSHIKIモデル (カワイ) | 1億円 | YOSHIKI氏がデザイン監修。カワイ創業90周年記念モデル。受注生産。 |
CR-1M (カワイ) | 1億円 | カワイ創業100周年を控えた挑戦。世界限定5台。 |
Lucidシリーズ (ブリュートナー) | 約6万ドル~ | ドイツの老舗メーカー。デザインやカスタマイズにより価格は大きく変動。 |
オリンピックモデル (ハインツマン) | (オークション価格) 約3.5億円 | 2008年北京五輪で使用。歴史的な価値が付加されて |
クリスタルピアノ:yoshikiモデルの入手方法と現状
この項の概要
- 1億円のyoshikiモデルと限定生産の背景
- 希少なクリスタルピアノは中古市場で手に入る?
- 特注品?ピンクのクリスタルピアノの存在
- 日本でクリスタルピアノが弾ける場所はここ
- クラシックのコンクールで使われることはある?
1億円のyoshikiモデルと限定生産の背景
カワイが製造する「YOSHIKI JEWELRY PIANO」、通称yoshikiモデルは、基本価格が1億円という、ピアノの常識を覆す製品です。このピアノは、カワイ創業90周年を記念して、YOSHIKIさん自身がデザインを監修して開発されました。
彼が実際にステージで使用するオリジナルのクリスタルピアノをモチーフにしており、「演奏者を美しく見せる」というコンセプトが徹底されています。ラグジュアリーなプロポーションと、光の透過・反射によって生まれる輝きは、まさに「宝石」の名にふさわしい仕上がりです。
この価格には、yoshikiさんという世界的なアーティストのブランド価値はもちろん、カワイの最高峰の技術を結集した完全受注生産品であるという背景があります。購入者の要望に応じたカスタマイズも可能で、オプションによっては基本価格をさらに上回ることもあります。
単なる楽器の値段ではなく、唯一無二のアート作品であり、YOSHIKIさんの芸術哲学そのものを所有する、という意味合いが強い製品なのです。
希少なクリスタルピアノは中古市場で手に入る?
新品の価格が非常に高額であるため、中古での購入を考える方もいるかもしれません。しかし、クリスタルピアノが中古市場に出回ることは極めて稀です。
その理由は、そもそも生産台数が非常に少ないことにあります。例えば、かつて人気を博したカワイのCR-40Aでさえ、全世界で年間わずか3台程度の生産でした。YOSHIKIモデルやCR-1Mのような限定品は、言うまでもありません。
所有者の多くは、コレクターや熱心なファン、あるいは高級施設であり、ステータスシンボルとして長期保有する傾向が強いです。そのため、手放されるケースが非常に少ないのが実情です。
ごく稀に、ピアノ専門の中古業者で過去の取り扱い履歴が見られることもありますが、在庫がある状態で見つけるのは至難の業です。もし中古市場で見つけた場合は、非常に貴重な機会ですが、その希少性から中古であっても高額な価格が維持されていると考えられます。
特注品?ピンクのクリスタルピアノの存在
「ピンクのクリスタルピアノ」という、さらに夢のある楽器を探している方もいるかもしれません。しかし、現在、主要メーカーの標準ラインナップとしてピンク色のクリスタルピアノは存在しないようです。
ただし、可能性が全くないわけではありません。ブリュートナーやカワイのようなハイエンドモデルを製造するメーカーは、顧客の要望に応じた柔軟なカスタマイズに対応しています。
例えば、カワイの1億円モデル「CR-1M」は、柔軟なセミオーダーシステムを導入しており、理論上はボディカラーの変更も交渉の余地があるかもしれません。同様に、ドイツのブリュートナー社も、豪華なヨットや邸宅向けに様々なカスタムを手がけています。
もちろん、特注で色を変更するとなれば、通常価格に加えて相当な追加費用が発生することは確実です。標準品として存在するわけではなく、あくまで「超高級品のビスポーク(特注)の世界」でのみ実現しうる選択肢、と捉えるのが現実的でしょう。
日本でクリスタルピアノが弾ける場所はここ
これほど希少なクリスタルピアノを、実際に見て、触れて、弾いてみたいと思うのは自然なことです。日本国内でその貴重な体験ができる可能性のある場所は、非常に限られています。
竜洋工場に1台クリスタルピアノがございます。(×常時)完全にYOSHIKIさんのピアノと同じ個体ではないのですが...もしご興味があれば、工場見学にいらした際に演奏いただけますので、ぜひ!
常時展示しているわけではないため、お問い合わせくださいませ。https://t.co/rbbfTL1pbt— カワイピアノ【公式】 (@Kawai_Japan) March 19, 2025
現在、最も確実な場所として知られているのが、静岡県磐田市にある「カワイピアノ竜洋工場」です。工場の資料室には、1億円のクリスタルピアノ(YOSHIKIさんが紅白歌合戦で使用したものと同一モデル)が展示されており、予約をすれば試弾も可能と報告されています。ファンやピアノ愛好家にとっては、まさに聖地とも言える場所です。

その他、東京の「カワイ表参道」のようなフラッグシップショールームで、特別展示が行われる可能性もゼロではありません。ただし、常設展示されているわけではないため、訪問前には必ず問い合わせが必要です。
公共の場で気軽に目にすることはほぼ不可能なため、これらの特定の施設を訪れることが、クリスタルピアノを体験するための唯一に近い方法となります。
クラシックのコンクールで使われることはある?
結論から言うと、ショパン国際ピアノコンクールのような、伝統と格式を重んじるクラシックの主要なコンクールでクリスタルピアノが使用されることは、まずありません。
コンクールでは、ピアニストは最高のパフォーマンスを発揮するために、音の響きやタッチのニュアンスを極限まで追求します。そのため、豊かな倍音と複雑な共鳴を持つ、伝統的な木製のコンサートグランドピアノ(スタインウェイ、ヤマハ、カワイ、ファツィオリなど)が選ばれるのが一般的です。
前述の通り、クリスタルピアノの音響特性は木製ピアノとは異なり、良くも悪くも「クリアで共鳴が少ない」という特徴があります。これは、クラシック音楽で求められる繊細な音色のグラデーションや、豊かな響きのコントロールには、必ずしも最適とは言えない場合があります。
クリスタルピアノは、その真価をクラシックのコンサートホールで発揮するというよりは、視覚的な演出が重要となるステージや、特別な空間を彩るアートピースとしての役割が大きいと言えるでしょう。
総括:YOSHIKIのクリスタルピアノは音楽を奏でる芸術品
さいごに、本記事の内容をまとめます。
チェックリスト
- クリスタルピアノの主素材はガラスではなく高品質なアクリル樹脂
- YOSHIKIの使用で日本での知名度が飛躍的に向上した
- 主要な製造メーカーは日本のカワイとドイツのブリュートナー
- カワイは1970年代から開発を手がけるパイオニア
- 外観は光を反射し演奏者を美しく見せるよう設計されている
- 音響特性は木製と異なりクリアで澄んだ音色を持つ
- 増幅を伴うコンサートなど特定の環境では音の明瞭さが利点となる
- カワイのYOSHIKIモデルの価格は1億円で完全受注生産
- 一般モデルだったCR-40Aでも価格は約620万円だった
- 生産台数が極端に少なく希少価値が非常に高い
- 中古市場で入手するのは極めて困難
- ピンク色のモデルは標準品にはなく特注でのみ可能性あり
- 静岡のカワイピアノ竜洋工場で試弾できる可能性がある
- 伝統的なクラシックのコンクールで使われることはない
- 楽器としてだけでなく芸術品としての価値を持つ