そんなお悩みを解消すべく、なぜピアノ専用のライトが必要なのかという理由から、あなたのピアノライフを快適にする一台を見つけるための具体的な選び方、さらには筆者自身の体験談も交えながら、シーンに合ったおすすめ商品を厳選してご紹介します。
みなさんにとって快適な演奏環境を叶えるお手伝いができれば幸いです。
こんな方におすすめ
- ピアノを弾く時の目の疲れや見えにくさを感じている
- アップライトやグランド、電子ピアノに最適な照明を探している
- インテリアに合うおしゃれなピアノライトのおすすめを知りたい
- ライト選びで失敗しないための専門的な基準を学びたい
なぜピアノライトは必要?演奏の質が変わる理由とは
天井のシーリングライトなど、一般的な部屋の照明はピアノ演奏には不向きです。真上からの光は自分の影を手元に落とし、楽譜が光を反射して見えにくくなるからです。この状態は目の疲れや体のこわばりを引き起こし、集中力の低下に直結。練習の質を下げてしまいます。

適切なピアノライトはこうした問題を解消します。視認性が劇的に向上してミスタッチが減り、疲れにくくなるため長時間の練習も可能に。結果として、練習の質と効率が格段にアップするのです。
後悔しないピアノライトの選び方 5つの必須チェックポイント
1. 明るさ(ルクス):楽譜と鍵盤をクリアに見るための最適値
ピアノライトを選ぶうえで最も重要なのは「明るさ」です。光の明るさは「lx(ルクス)」という単位で表され、数値が大きいほど明るくなります。
「明るさ(ルクス)」とは、楽譜や鍵盤といった特定の面がどれだけ明るく照らされているかを示す指標です。
ピアノ演奏においては、楽譜上で750ルクス〜1500ルクスの範囲が推奨されています。この明るさを確保することで、細かな音符もストレスなく読み取れ、目への負担も大きく軽減されます。
ポイント2 光の色(ケルビン):練習時間や目的に合わせた色温度の選び方
光の「色」も、演奏の質や気分に大きく影響する大切な要素です。光の色は「K(ケルビン)」という単位で表され、数値が低いほど暖かみのある光(暖色系)、高いほど白く青みがかった光(寒色系)になります。
リラックスして演奏したい夜間には、2700K〜3000Kの「電球色」がおすすめ。暖かい黄色の光はブルーライトが少なく、メラトニン分泌を妨げずに良質な睡眠をサポートします。
譜読みや基礎練習など、集中したい日中には、3500K〜4000Kの「温白色」や「白色」がバランスの取れた光として最適です。
本格的な練習や集中力を高めたいときには、5000K以上の「昼白色」や「昼光色」がおすすめ。覚醒度が高まり、集中力アップが期待できます。

色の再現度(演色性):楽譜の細かな指示を正確に読み取るために
「演色性」とは、その光がどれだけ自然光に近い色を再現できるかを示す指標で、「Ra(アールエー)」という単位で表されます。
この数値が100に近いほど、色の再現度が高いことを意味します。楽譜には、黒い音符だけでなく、赤や青のペンで書き込まれた重要な注釈があることも少なくありません。
演色性が低い光の下では、これらの色がくすんで見えたり、違う色に見えたりして、指示を正確に読み取れない可能性があります。
ピアノ演奏においては、Ra 80以上が基準とされ、理想を言えばRa 90以上の「高演色」なライトを選ぶことで、楽譜の情報を正確に把握し、ピアノ本体の木目など美しい色合いも忠実に再現してくれます。
あなたのピアノに最適なライトの特徴は?
お使いのピアノの種類によって、最適なライトの形状は異なります。それぞれの特徴を理解して、ぴったりの一台を選びましょう。
アップライトピアノにおすすめの照明
アップライトピアノは壁際に設置されることが多く、譜面台のスペースも限られています。そのため、譜面台の上部やピアノ本体に直接置ける、スリムでコンパクトなバータイプのライトが人気です。
鍵盤から楽譜までを均一に照らせる横長のモデルが特に適しています。
グランドピアノを美しく照らす照明
グランドピアノは、その美しいフォルム自体がインテリアの主役です。譜面台に直接置くタイプのほか、ピアノの横に設置する背の高いフロアスタンド型のライトもよく合います。
アームが長く、光の位置を柔軟に調整できるモデルを選ぶと、大きな譜面でも隅々まで照らすことができます。
電子ピアノに合うライトの特徴
電子ピアノはモデルによってデザインやサイズが多様ですが、一般的にはコンパクトなものが多いため、ライトも省スペースで設置できるものが好まれます。
譜面台に挟んで固定するクリップ式のライトや、デスクライトタイプが手軽で便利です。
デザイン性:インテリアに馴染むおしゃれな一台を見つける
ピアノは演奏するための楽器であると同時に、お部屋の印象を左右する大切な家具でもあります。だからこそ、ピアノライトも機能性だけでなく、デザインにこだわって選びたいものですよね。
お部屋の雰囲気に合わせて、モダンでスタイリッシュなデザインや、温かみのあるアンティーク調のデザインなど、お気に入りの一台を探すのも楽しみの一つです。
おしゃれなライトを選ぶことで、ピアノ周りの空間がより洗練され、演奏へのモチベーションも一層高まるでしょう。

タイプ別|おすすめのピアノライトを紹介
【決定版】機能性を追求するなら|BenQ PianoLight
ピアノ演奏の快適さを本気で考えるなら、まず候補に挙がるのがBenQの「PianoLight」です。
ピアノ演奏のためだけに設計されており、横に広い楽譜(A3見開きサイズ)を均一に照らす独自の光学設計が最大の特徴です。
楽譜を垂直に、鍵盤を水平に照らす3D光学設計が採用されており、鍵盤の両端の明るさは300ルクスに達します。自動調光機能や、リラックスしたい時・集中したい時で使い分けられる色温度調整機能など、まさに「至れり尽くせり」の一台です。
アップライトピアノにもグランドピアノにもフィットするデザインで、多くのピアノユーザーから支持されています。
- 明るさ(楽譜上): 鍵盤の両端で300ルクス
- 光の色(色温度): 2700Kから5000Kまでの調整が可能です。
- 明るさ調節: 15段階の異なる明るさレベルを提供します。周囲の照明状況に応じて自動調光も可能です。
【おしゃれさ重視】インテリアになるピアノライト3選
機能はもちろん、見た目にもこだわりたい方へ。お部屋の主役にもなれる、デザイン性の高いライトをご紹介します。
1. BALMUDA The Light
「子どもの目を守る」をコンセプトに開発されたBALMUDA The Light。2019年度グッドデザイン賞、キッズデザイン賞を受賞しています。
医療現場の手術灯から着想を得た独自の技術により、手元に影を作りにくい光を実現。目に優しく、ピアノ演奏にも最適です。
さらに、高いデザイン性と実用性を兼ね備えており、ペンなどの小物を収納できるスペースも便利。楽器のすき間に小物が落ちてしまう…といった心配も減らせます。
リビングや子ども部屋にも自然に馴染む、洗練されたデザインが魅力の一台です。
- 明るさ(全光束): 430lm。
- 光の色(色温度): 5700K。
- 明るさ調節: 6段階(15〜100%)の調光が可能
2. Louis Poulsen Panthella Portable

出典:FLY MEe

北欧デザインを代表する名作、ルイスポールセンの「Panthella Portable」。
このモデルは充電式のポータブルライトで、直接的な光ではなく、アクリルシェード全体がやさしく発光し、周囲をふんわりと照らします。
本格的な演奏用ライトというよりも、夜にゆったりと音楽を楽しむための「雰囲気づくり」にぴったり。サイズは4種類展開されており、インテリアや用途に合わせて選べます。
正規販売店サイト
- 明るさ(全光束): 150lm。
- 光の色(色温度): 2700K(温白色)
- 明るさ調節: 3段階調光が可能

3. DRAW A LINE
一本の突っ張り棒をベースに、ランプアームなどのパーツを自由に追加していく「DRAW A LINE」。
床やピアノ本体にスペースがなくても、縦の空間を有効活用して照明を設置できます。アームが長く、ピアノの横幅の半分より少し長い約90cmという絶妙な長さで、楽譜の真上まで届き、どこにでも設置可能です。
インダストリアルでおしゃれな見た目は、オールブラックの本体にゴールドの真鍮ネジ、オプションの木目の棚など、ピアノに合うデザインが特徴です。こだわり派のあなたを満足させてくれるはず。
ランプの明るさや色温度、調光機能は、使用するアームや電球の種類によって異なります。
たとえば、「BRID エジソン電球 VINTAGE NORMAL LED BULB E26 CLEAR」などが選択肢として用意されています。
価格の目安
- テンションロッド本体:約7,590円
- ランプアーム(S/L):約19,690円~21,780円
- ランプパーツ類:約12,100円~42,350円
- ライトとロッドのセット:約29,040円~48,290円
設置作業はやや手間がかかり、上級者向けの選択肢といえるでしょう。
【筆者の体験談】お気に入りのアンティーク調ライト
私は、自宅の電子ピアノでスワン電器の「EXARM NY」(LEX-1100)というライトを愛用しています。
選んだ一番の理由は、何と言ってもこの1800年代のバンカーズランプを現代の最新機能で再現したアンティーク感のあるデザインです。
子どもが寝た後の夜間に、一人で好きな曲を弾くのが至福の時間なので、心落ち着く柔らかな光、つまりリラックスできる温かみのある光を探していました。
購入時はそこまでスペックを気にしていなかったのですが、今回この記事を書くにあたって詳しく調べてみたところ、デザインだけでなく、意外にもピアノ演奏における特定のニーズに非常に合致する点が多いことに気づきました。
ポイント
- 光の色・演色性: 夜の練習に最適な3,000Kの「電球色」。さらに、色の再現性を示すRa値は97と極めて高く、楽譜の細部やピアノ本体の色を忠実に再現
- 機能性: 精密なアームと無段階調光で、光の位置と明るさを自在に調整可能。限られたスペースでも的確に譜面台を照らし、影を気にせず演奏に集中できます
「素敵だな」と思って選んだライトが、結果的に性能面でもぴったりだったというのは嬉しい驚きでした。デザインの好みで選んでも、このように質の高い製品に出会えることもあります。ぜひ、あなたの「好き」という気持ちも大切に、ライト選びを楽しんでください [/st-mybox]
【手軽さNo.1】まずは試したいクリップ式ライト
「大げさなものは要らないけれど、手元の暗さだけ解消したい」というニーズに応えてくれるのが、クリップ式のLEDライトです。
譜面台や棚板に挟むだけで簡単に設置でき、価格も数千円からと手頃なのが最大の魅力。電子ピアノやキーボードでの使用にも最適です。
選ぶ際は、アームが長く自由に曲げられるか、楽譜全体を照らせる横長タイプか、などをチェックすると失敗がありません。
ピアノライトに関するよくある質問
専用品は高価だけどデスクライトでは代用できない?
一般的な学習用や読書用のデスクライトでも、ピアノ演奏に代用することは不可能ではありません。しかし、多くのデスクライトは、照らす範囲が比較的狭く、横に広い楽譜全体を均一に照らすことが難しい場合があります。
また、ピアノ演奏に求められる明るさ(750ルクス以上)や色の再現度(Ra 80以上)といった基準を満たしていないこともあります。
もし代用するなら、これらの基準を満たし、アームが長く光の位置を柔軟に調整できるモデルを選ぶ必要がありますが、最適な環境を求めるなら、やはり専用に設計されたピアノライトが最も確実な選択と言えます。
ライトを設置する最適な高さと角度は?
ライトを設置する上で最も重要なのは、演奏者の視線に直接光が入らず、かつ楽譜や鍵盤に影が落ちないようにすることです。一般的には、楽譜の上方から、少し前方の位置に光源が来るように設置するのが理想的です。
これにより、自分の頭や手の影が手元に落ちるのを防ぎ、楽譜の表面で光が反射する「グレア」も抑制できます。ライトのアームやヘッドの角度を調整しながら、最も見やすい位置を探してみてください。
LED電球を選ぶべき理由と注意点
現在市販されているピアノライトのほとんどは、光源にLEDを採用しています。LEDは、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて、少ない消費電力で長寿命であるという大きなメリットがあります。
また、熱をほとんど発しないため、長時間の練習でもライトの周辺が熱くなりにくく、夏場でも快適に使用できます。
製品によって明るさや光の色、調整機能が大きく異なるため、購入前には製品仕様をよく確認し、自分の目的や用途に合ったものを選ぶことが重要です。
まとめ:あなたに最適な一台でピアノ演奏をもっと豊かに
あなたにぴったりのピアノライトを見つけることは、単に「手元を明るくする」だけでなく、目の疲れやストレスから解放され、これまで以上に深く音楽に没頭するための、自分自身への投資です。
正しい知識を持って選んだ一台は、あなたのピアノライフをより快適で、より豊かなものへと導いてくれる頼もしいパートナーとなるでしょう。
この記事で解説したポイントを参考に、ぜひあなたにとって最高のピアノライトを見つけて、素晴らしい演奏を楽しんでください。
ポイント