こんにちは!シェリーです。
今回は私の大好きなピアノ曲のひとつ、ラフマニノフの『鐘』の難易度や弾き方について解説します。
鐘は浅田真央選手のスケートの演技でも使われており、聴いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?とっても壮大で魅力的な名曲ですよね。
難易度は技術的に中級上程度で、全音ピアノピースでは難易度D(中級上)のレベルに分類されています。ただし、手が小さい方には少し難しく感じられるかもしれません。本記事では、手が小さい方へのアプローチもご紹介します。
私は妊娠8カ月の時、音大出身者を含むコンクールで鐘を演奏し、アマチュアながらも部門最高位を受賞しました。私の演奏動画も紹介していますので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです♪
こんな方におすすめ
- 『鐘』の難易度や曲について知りたい
- 中級以上のピアノ曲に挑戦したい
- おすすめ演奏動画を知りたい
- 弾き方のポイントを知りたい
私について
- 4歳からピアノを始め、アマチュアとして25年以上続けている
- 現在も音大の先生に師事し、本業と子育ての傍ら自己研鑽中
- 夢は、ピティナ・グランミューズ部門の全国大会の舞台に立つこと
詳細はプロフィールページをご覧ください♪
ラフマニノフの鐘の難易度は?弾き方のコツを紹介
みなさんはラフマニノフの前奏曲 嬰ハ短調「鐘」を聴いたことがありますか?この曲は、壮大な響きとドラマティックな展開が特徴的な名曲です。重厚な和音の中に、美しく鳴り響く鐘のようなメロディーに心打たれた方もいるのではないでしょうか。
浅田真央選手のスケートプログラムではオーケストラ版が使われており、感動的な演技を引き立てていましたよね。
まずは基本情報や曲の背景を紹介し、弾き方のポイントや手が小さい人へのアプローチについても考えてみましょう。
一般的な難易度は中級上!
早速ですが、ラフマニノフの『鐘』の難易度は、全音ピアノピースでは、D(中級上)に分類されています。全音ピースの難易度基準がどのように決められているかは明確ではありませんが、個人的には以下のような要素が影響しているのではないかと考えています。
- 要求される技術レベルや音楽的な表現力
- 曲の長さやボリューム感
ただし同じレベルに分類されていても、曲のもつ技術的特徴は異なるため、奏者によって感じる難易度は変わることがあるでしょう。特に鐘では、両手オクターブでの激しい跳躍がある分、手が小さい人にとっては、難易度が高く感じられるかもしれません。手が小さい方の練習のポイントは後述します。
演奏効果が高く、コスパがいい曲
『鐘』は中級上レベルの曲で、演奏時間は5分以内と短めですが、そのインパクトは非常に強いです。
私もこの曲を実際に演奏しましたが、練習量の割に演奏効果が高く「弾き映えのする曲」だと感じました!
その理由としては、
- 短い曲でありながら、ドラマチック
- メロディーや展開が分かりやすい
- 後半の激しい盛り上がりが聴衆を惹きつける
といった特徴があると思います。こうした「分かりやすい」要素を持つ曲は、たとえクラシック音楽に詳しくない聴衆でも「すごい!」と感じてもらえやすい気がします。
そのため、特に人前でカッコいい演奏をしたい方にはこの『鐘』は「高コスパ曲」としておすすめです。技術的には中級上でありながら、聴き手に強い印象を与えることができる曲です。
ただし、技術面が比較的クリアしやすくても、ラフマニノフらしい音楽的な深さを引き出すにはさらなる工夫と表現力が必要です。これはどの曲にも共通することですね。
基本情報と解説
ラフマニノフの前奏曲『嬰ハ短調「鐘」』は、その壮大な響きとドラマティックなメロディで知られるピアノ曲です。この曲は1892年に作曲され、ラフマニノフの初期の作品の一つです。わずか19歳の時に作曲されたこの曲は、その才能を世に知らしめました。
この曲は『鐘』と呼ばれることが多いですが、正式なタイトルは『前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2』です。鐘という呼称は、曲の中で何度も繰り返される重厚な和音が、まるで大きな鐘が鳴っているかのように聞こえることに由来しています。
ラフマニノフはこの曲で、ピアノの持つ幅広い音域を駆使し、深い感情と壮大なスケールを表現しています。特に、低音の力強い和音と高音の繊細なメロディの対比が特徴的です。鐘を演奏するには、技術的なスキルと共に、感情を豊かに表現する力が求められます。
多くのピアニストの間でも人気の曲である『鐘』。クラシック音楽のコンサートでは、この曲を聴く機会も多く、プロのピアニストだけでなく、ピアノを学んでいる人たちにも人気の曲です。
背景と作曲の経緯
ラフマニノフが鐘を作曲したのは、彼がモスクワ音楽院の学生だった頃です。当時、ラフマニノフはピアノと作曲を学んでおり、その才能はすでに広く認められていました。
ラフマニノフがこの曲を作るにあたり、深い感情とロシアの文化が大きなインスピレーションとなりました。ラフマニノフはロシアの教会の鐘の音に強く心を惹かれており、その荘厳な響きを音楽に取り入れたいと考えていました。故郷であるロシアの風景や教会の鐘の音は、作曲に強い影響を与えました。
作曲の過程では、ラフマニノフはまずピアノで様々な音を試しながら、曲のイメージを形作っていきました。彼の作曲スタイルは非常に細部にこだわるもので、鐘においても和音の響きやリズムの変化に特に注意を払いながら作り上げました。楽譜に音を記録する際も、彼は丁寧にその響きを確認しながら進めました。
1892年10月8日の初演の際、聴衆に大きな感動を与え、ラフマニノフの名は瞬く間に広まりました。鐘はその美しさと力強さで人々を魅了し、ラフマニノフの才能を世に知らしめる重要な作品となったのです。
ラフマニノフの音楽には、ロシアの文化と彼自身の深い感情が詰まっており、多くの人々の心に響きます。鐘もその一つであり、今でも多くのピアニストや音楽愛好者に愛され続けています。
技術的特徴と弾き方のポイント4つ
ラフマニノフの鐘を演奏する上で、特にキーとなる技術的な特徴と、弾き方のポイントをお伝えします。
1.オクターブの跳躍
ラフマニノフは手が非常に大きかったため、オクターブ以上の広がりを自在に使って曲を作りました。鐘の曲中では、両手でのオクターブの跳躍を正確に弾くことが求められます。
オクターブが楽に届く人にとっては特に問題ないと思いますが、手が小さい人にとってはこの部分が難易度を上げる要因となります。手が小さい方へのアプローチは後述します。
2.和音の表現力
この曲では、両手を使って10本の指で和音を弾く部分が多くあります。特に重要なのは、上声部のメロディーラインが他の音に埋もれてしまわないように、しっかりと響かせて演奏することです。上声部を際立たせるためには、強弱のコントロールが非常に重要です。
また、上声部以外の音は「上声部よりも控えめに弾く」意識で弾きましょう。各声部の強弱は全体的なバランスをみながら調整することがポイントです。
後半では激しくなり、音量的にもかなり大きくなりますが、腕全体は力まないようにすることが大切です。力んでしまうと、遠くへ響く鐘の音を表現できなくなってしまうので、脱力を心がけて演奏してください。
3.速いパッセージの正確さ
中間部では、右手が速いアルペジオを弾く部分があります。ここでは、指が滑らかに動くように練習が必要です。正確なリズムを保ちながらも、流れるような演奏を目指しましょう。
効果的な練習方法として、「リズム変奏」があります。ハノンなどで行うリズム変奏を取り入れると、特に動きがぎこちない指を意識して鍛えることができます。リズムを変えて練習することで、各指が独立してスムーズに動くようになり、結果としてアルペジオの滑らかさが向上します。
スムーズに動くようになったら、楽譜通りのリズムで、ゆっくりなテンポから徐々に速く弾けるようメトロノームを使った練習をすると良いでしょう。
体験談
私自身、薬指が弱いためアルペジオが転んでしまうことがありましたが、リズム変奏を練習に取り入れてからは、指の動きが改善し、コンクール本番でも滑らかに弾くことができました
4.ペダルの使い方
鐘では、ダンパーペダルを使うことで音を響かせ、美しい鐘の音を効果的に表現することができます。しかし、ペダルの使い方が不適切だと、音が濁ってしまい、せっかくの壮大な響きが失われかねません。
かく言う私もペダルの操作が未熟で、先生からよく「ペダルは耳で踏みなさい」と指導されています。
もし音が濁ってしまう場合は、ペダルを踏むタイミングが早すぎたり、逆に遅すぎて前の音が残ってしまっていることが考えられます。
ペダルを使う際は、響きをよく聴きながら、音が濁らないようタイミングや深さを微調整してみてくださいね。
手が小さい人へのアプローチ
ラフマニノフは身長が198cmあったと言われており、とても手が大きかったことが想像されます。
実際に鐘は、オクターブの跳躍が多く、手が小さい人には難易度が高く感じるかもしれません。しかし、手が小さいからといって「弾きたい」という気持ちを諦めるのは、とてももったいないことです。以下に、手が小さくても演奏を楽しむヒントをご紹介します。
和音でアルペジオを活用する
一度に和音を押さえるのが難しい場合、音を順番に弾くアルペジオで対応するという方法もあります。
原曲の演奏意図とは少し変わってしまう部分のあるかもしれませんが、アルペジオとダンパーペダルを駆使することで手の負担を減らしつつ豊かな響きを表現することができます。
適切な指使いを見つける
楽譜に書かれた指使いに従うのが難しい場合は、自分が弾きやすい指使いに変えてみましょう。
決められた指番号を遵守することよりも、自分に合った運指を見つけることが大切です。そうすることで、パフォーマンスをより発揮しやすくなり、思い通りの音楽表現がしやすくなります。
ペダルを効果的に使う
ダンパーペダルを使うことで、音が途切れないようにし、手の届かない音を補完できます。すでに述べたように、音が濁るリスクがあるため、ペダルの踏み替えタイミングはしっかり練習しましょう。
これらの方法を取り入れることで、手が小さい方でも取り組みやすくなるのではないでしょうか。レッスンを受けている人は、先生にも相談しながら最適な方法を見つけてみてくださいね。
3ヶ月で習得できる?
ラフマニノフの鐘を3ヶ月で習得できるかどうかは、演奏者の経験によって変わり、必要な練習量には個人差があると思います。基本的なピアノ技術が身についていれば、3ヶ月あれば十分弾けるようになるでしょう。特に、アルペジオと和音をしっかりと弾けるようになることが鍵になります。
3ヶ月のスケジュール例
私の場合、3ヶ月で鐘を仕上げるスケジュール感は以下のようになります:
- 1ヶ月目:譜読みを終わらせて弾き通せるようになる
- 2ヶ月目:レッスンを受けつつ、技術面や表現力をブラッシュアップ。和音やアルペジオの精度を高める
- 3ヶ月目:弾き込みながら、暗譜を進めていく。細部の調整や表現を磨き、仕上げる。
レッスンを受けている方は、先生と相談しながら計画的に進めてみてくださいね。
鐘のおすすめ演奏動画を紹介
鐘に挑戦する方には、ぜひ聴いていただきたい素晴らしい演奏動画をご紹介します♪
鈴木弘尚さん
YouTubeには鐘の演奏動画が多くアップされていますが、私が特におすすめしたいのが鈴木弘尚さんの演奏です。実は、私がこの曲を弾きたいと思ったのも、鈴木さんの演奏がきっかけでした。
驚くべきことに、鈴木さんの演奏はピアノの音なのに、本物の鐘の音が鳴り響いているかのように聴こえるのです。そして、何よりも彼の全身全霊の演奏に心が引き込まれ、鳥肌が立つほどの感動を覚えました…!
言葉では表現しきれないほど素晴らしい演奏なので、これから鐘に挑戦する方は、ぜひ一度鈴木さんの演奏を聴いてみてくださいね。
ラフマニノフ本人による演奏
さらに、なんとラフマニノフ本人による演奏音声が残されているんです!これは驚きですね。作曲者自身の演奏を聴くことで、曲に込められた作者の意図や感情をより深く感じ取ることができるかもしれません。
ぜひこの貴重な音源も参考にしてみてください。
私の演奏体験:妊娠8カ月でコンクール
私が『鐘』を練習していたのは、妊娠中のこと。コンクール本番の日は、妊娠8カ月。2022年のコロナ渦の夏で、とても暑かったこともあり、大きなお腹を抱えて会場まで行くのはひと苦労でした。
アマチュアの私が、音大卒の方々も出場する一般部門に挑戦するのは初めてのことで、緊張もありました。でも「いつも通り弾けば大丈夫」と、気持ちを落ち着かせて臨みました。
実はそれまで、本番でミスなく演奏できたことが一度もなかったのですが、その日は何かが降りてきたかのように、納得のいく演奏ができました。
その結果、部門2位(1位なし)という評価をいただけて、本当に嬉しかったです。自信にもつながり、「今後もプロ・アマ関係なく、自分の音楽を楽しみながら高みを目指そう」と思えました。
お腹の中の赤ちゃんも、会場に響き渡る『鐘』の音を楽しんでくれていたかも…(?)私の影響か分かりませんが、もうすぐ2歳になる娘はピアノに触ったり歌や音楽に合わせて踊ったりすることが大好きです。
今後も娘と一緒に音楽を楽しんでいきたいです。
可能思考で、限られた時間で集中力高く練習する
「妊娠中だからコンクールはお休みしよう」と考えることもできましたが、私はそうしませんでした。いつだって、できない理由を探すのは簡単です。しかし、挑戦し続けることで、新しい景色が見えるものだと感じています。
どんな状況でも「できる方法」「できる理由」を見つけていく、そんな可能思考を大切に、これからも前向きな姿勢でピアノに向き合いたいです。
現在は仕事と育児を両立しているため、以前よりピアノに向き合う時間は減りましたが、子育てが始まってから「弾きたい」という気持ちがさらに強くなりました。そして、不思議なことに限られた時間で、より高い集中力を発揮できるようになったのです。
実際、今取り組んでいるスケルツォ第2番でも、先生から「以前よりもエネルギーと集中力の高い演奏になった」という言葉をいただきました。
2025年1月には門下生の演奏会でスケルツォ第2番を演奏する予定ですので、それに向けてさらに技術と表現を磨いていきたいと思っています。
私の演奏動画
最後に、私の演奏動画を紹介します。
プロの方やラフマニノフ本人による素晴らしい演奏の後に紹介するのは気が引けますが、未熟な部分も含めて温かく応援していただけると嬉しいです。
自宅でKAWAI製の電子ピアノCA98を使って演奏しています。実は後ろで当時0歳の娘が寝ていたため、照明を落としての演奏となりました。手元が見えづらく恐縮ですが、ご了承ください。音声はヘッドフォンで収録しています。
これからもさらに上達できるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
まとめ:ラフマニノフの鐘の難易度は技術的には中級上
いかがでしたか?今回はラフマニノフの鐘も解説や難易度、弾き方のコツ、手が小さい方へのアプローチ、おすすめの演奏動画などを、筆者の体験談を含めてお伝えしました。
鐘の一般的な難易度は中級上ですが、手の大きさなどによって、個人的な難易度にはばらつきがあるようです。
みなさんもぜひ、ラフマニノフの鐘に挑戦してみてくださいね。本記事が少しでも参考になれば幸いです。