みなさん、こんにちは!シェリーです。三善晃作曲の「波のアラベスク」は、波を描いたとても美しいピアノ作品ですよね。
「波のアラベスクの難易度は?」「何年生から弾けるのか?」と気になっている方もいるでしょう。この記事では、曲の難易度や弾き方のポイント、発表会やコンクールでの演奏の魅力、そして楽譜の入手方法について解説します。また、初心者の練習に役立つ「ゆっくり」なお手本動画もご紹介します。
結論、「波のアラベスク」の難易度は技術的には中級レベル以上で、早ければ小学校2年生からでも挑戦可能です。音楽的な高い表現力が求められるため、大人でも挑戦する価値がある曲です。
実は私自身も小学5年生の時、ヤマハのコンクールでこの曲を演奏し、初めて金賞をいただいた思い出深い曲です。皆さんの演奏の参考になれば嬉しいです。
こんな方におすすめ
- 三善晃作曲の「波のアラベスク」のレベルを知りたい
- 発表会やコンクールで弾きたいと考えている
- 弾き方のポイントを知りたい
- 楽譜の入手方法を知りたい
波のアラベスクの難易度は?
この項の概要
- 作曲者三善晃と「海の日記帳」の作品背景
- 曲の難易度は?
- 何年生から演奏できる?小学2年生でも挑戦できる?
- 発表会での選曲としての魅力
- 初心者向けアドバイス
- ゆっくり動画の紹介
作曲者三善晃と「海の日記帳」の作品背景
子どものピアノ小品集 海の日記帳 (三善晃) (こどものピアノ小品集)
三善晃(みよし あきら)は、日本の現代クラシック音楽を代表する作曲家のひとりです。彼の作品は、特にピアノや合唱の分野で多くの人々に愛されています。「海の日記帳」は、三善晃が48歳のときに作曲した、海にまつわるイメージをテーマにしたピアノ曲集です。子どもたちが海の様々な表情を感じられるように構成されており、その中でも「波のアラベスク」は特に人気のある一曲です。
「海の日記帳」は、海の様々な情景を描写しており、子どもでも挑戦しやすい難易度で作られていますが、感受性や音楽的表現を引き出す工夫がたくさん詰まっています。「波のアラベスク」も、海の波が絶え間なく動く様子を、音楽で繊細に表現しているのが特徴です。短い曲ですが、三善晃の独特の世界観が感じられる名曲として、コンクールや発表会でも多く演奏されています。
曲の難易度は?ピティナステップでは「発展1」
「波のアラベスク」の難易度は、技術的には中級レベル以上です。
ピティナのピアノステップでは、「発展1」レベルに分類されており、これは全23段階中、16番目になります。
目安として、チェルニー30番の練習曲を半分程度クリアした人なら取り組める程のレベルですが、この曲のポイントは表現力です。短いながらも波のように揺れ動く旋律をどう表現するかが難しさの一つであり、そこが演奏者の腕の見せ所でもあります。
この曲には転調が多く、臨時記号も豊富に含まれているため、譜読みが難しいと感じる人もいるかもしれません。また、ペダルの使い方にも注意が必要です。ペダルを使いすぎると音がぼんやりとしてしまい、踏み換えがうまくいかないと音が濁り、「波の美しさ」を十分に表現できなくなってしまいます。適切なペダリングを練習し、メロディーの輪郭をはっきりと保つことが大切です。
技術的には中級レベルで、小学生でも挑戦できる曲ですが、人生経験を積むことで、より美しく豊かな演奏ができる曲でもあると思います。
何年生から演奏可能?小学2年生でも挑戦できる?
「波のアラベスク」を何年生から弾けるかは個人差がありますが、早ければ小学校低学年でも挑戦できる曲です。実際、ピティナコンクールのA1級(小学校2年生以下の部門)で演奏している方もいます。
↓こちらの動画はA1級で金賞を受賞された矢田隼也さんの演奏です。繊細で美しい波の動きを丁寧に表現していて、とても素晴らしい演奏ですね…!
ちなみに、私は小学5年生(11歳)時、コンクールでこの曲に挑戦しました。中学年程度で演奏する人も多く見かけることから、波のアラベスクは小学校低学年から高学年まで幅広く演奏される曲だと思います。
レッスンに通っている方は、自分のレベルに合っているかどうか、ぜひ先生に相談してみてください。「弾けるかどうか自信がない…」という方も、少し難しい曲に挑戦することで成長する良いチャンスになります。
きっと、表現の幅が広がり、技術的にも多くの学びを得られることと思います。
発表会での選曲としての魅力
「波のアラベスク」は、ピアノ発表会での選曲として魅力的な曲であり、実際に人気な曲でもあります。
短い曲ながらも演奏効果が高い
まず、曲の長さが2~3分と比較的短いので、小学生でも集中して弾き切ることができます。また、曲自体が持つ表現の幅が豊かで、波が寄せては返すような動きが美しく描かれているため、短時間ながらも聴衆の心に残りやすい、演奏効果の高い曲だと思います。
音楽的な表現力を発揮できる
発表会では、音を正確に弾くだけでなく、自分らしい音楽を届けることが大きな醍醐味です。その点で「波のアラベスク」は、強弱やペダルの使い方、テンポの緩急など、音楽的な表現力を存分に発揮できる曲と言えます。技術と感受性のバランスを見せるのにぴったりな一曲です。
印象に残りやすい曲調
さらに、三善晃の作品であることも魅力の一つです。彼の音楽は独特な響きと現代的な感性を持っているため、クラシック曲が多くなりがちな発表会のプログラムの中でも、少し異なるテイストの作品として印象に残るのではないかと思います。
発表会で自分の演奏を特別に印象づけたい方には、おすすめの一曲です。
初級者向けアドバイス
波のアラベスクを初めて練習する方や、ピアノ初心者向けにいくつかアドバイスをご紹介します。
譜読みは少しずつ丁寧に
多くの臨時記号が含まれているため、初めて譜読みをする際は焦らず、一つずつ音を確認することが大切です。まずは左右の手を別々に、ゆっくりとしたテンポで練習し、正確に音を弾けるようになることを目指しましょう。丁寧な譜読みが、確実で安定した演奏に繋がります。
ペダルの使い方に注意
波のアラベスクでは、波のような響きを表現することがポイントですが、ペダルを使いすぎると音が濁ってしまうため、注意が必要です。初心者の方は、ペダルを踏むタイミングや踏み方を先生に確認しながら、美しい響きを保つよう心がけましょう。
ポイントは、ペダルに頼りすぎないことです。音を繋げたい部分で必要なだけ軽く踏むようにして、メロディーラインがぼやけないように注意し、クリアに響かせることを意識しましょう。
また、自分の音の響きをよく聴きながら、「この音はホール全体に響くか?」と想像して練習することで、遠くにまで響くような豊かな音を作ることができます。
強弱の変化を波のように自然に表現する
「波のアラベスク」では、強弱の変化がまるで波が寄せては返すように自然に聞こえることが大切です。ここで覚えておきたいのは、「f(フォルテ)」や「p(ピアノ)」などの音楽記号は、絶対的な音の大きさを示しているわけではないということです。例えば「f」が何デシベル、「p」が何デシベルという具体的な数値ではなく、その曲全体の中で「どれだけ強く聞こえるか」「どれだけ弱く聞こえるか」という相対的なものを表しているのです。
少し難しく感じるかもしれませんが、要するに「波のアラベスク」を演奏する際には、あなたが描きたい「波」の規模感をしっかり意識することが大切だということです。その最大の波から最小の波まで、強弱を意識的にコントロールして、聴衆にその動きが伝わるように表現しましょう。
ここで注意したいのは、強弱を「ここはこれくらい強く、次はこれくらい弱く」と頭で細かく考えすぎると、全体の流れがぎこちなくなり、「波のアラベスク」の魅力である自然な流れが損なわれてしまうことです。そのため、グラデーションのように、強さがスムーズに変わるように表現することを意識しましょう。滑らかに変化する強弱をつけることで、まるで本物の波が動いているかのような自然な演奏を目指せます。
ゆっくり動画の紹介
YouTubeチャンネル「tomoko sensei」では、譜読みに役立つ「ゆっくり」なお手本動画が紹介されています。手の動きを確認しながら丁寧に譜読みしたい初心者の方に、とてもおすすめです。
ぜひチェックしてみてくださいね。
波のアラベスクの難易度は中級程度:楽譜や弾き方のポイント
この項の概要
- 楽譜は無料で手に入る?
- コンクールで演奏する際のポイント
楽譜は無料で手に入る?
波のアラベスクの楽譜は、三善晃のピアノ曲集「海の日記帳」に収録されています。無料の楽譜をお探しの方もいるかもしれませんが、基本的には有料で販売されています。また、波のアラベスクは著作権保護期間中のため、正規ルートで入手しましょう。
「海の日記帳」:全28曲の曲集
「海の日記帳」には、「波のアラベスク」を含む全28曲が収録されています。価格は1760円(税込)(2024年10月時点)で、1曲あたりに換算すると約63円です。曲集には多くの美しい作品が含まれているので、「波のアラベスク」だけでなく他の曲も楽しみたいという方には、とてもお得な内容となっています。「海の日記帳」は、音楽之友社のオンラインストアやAmazon、楽天などで購入可能です。
「波のアラベスク」単体の楽譜
「波のアラベスク」の楽譜だけ欲しいという方は、以下のオンラインショップで購入することができます。PDFをダウンロードし、自宅やコンビニでプリントアウトしてすぐに使用できます。
※価格は2024年10月現在
サンプル楽譜を確認する限り、どちらのサイトでも原曲に沿った楽譜を提供していますが、「海の日記帳」の曲集に含まれる指示とは少し異なる可能性もあります。
細かな指示や全体の流れをしっかり理解したい場合は、曲集の購入をおすすめします。とりあえず安価で入手したいという方は、単体の楽譜でも十分かもしれません。
参考
「海の日記帳」は海をテーマにした曲集ですが、湯山昭作曲の「お菓子の世界」という、お菓子をテーマにした曲集もあります。こちらも魅力的な曲が多く収録されているので、ご興味のある方はぜひこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
コンクールで演奏する際のポイント
コンクールで波のアラベスクを演奏する場合、審査員に強く印象付けるにはいくつかのポイントを押さえておくことが重要です。この曲はただ正確に弾くだけではなく、独自の表現力と細やかな演奏テクニックが求められます。
感情の込め方と物語性
「波のアラベスク」は、海の波を描いた曲です。審査員に響く演奏をするためには、この波の動きや感情をどれだけ自分の演奏に込められるかがポイントとなります。波が静かに寄せてくる場面や、力強く打ち寄せる場面を想像しながら演奏することで、聴く人に物語を感じさせる演奏を目指しましょう。
ポイント
- 曲全体の中で自然な強弱をつける:波の動きをリアルに表現するためには、自然な強弱の変化が必要です。強弱を通じて、波が寄せたり引いたりする様子を描きましょう。
- フレーズごとに異なる感情を込める:各フレーズには、それぞれ異なる波の表情があります。静かな波、力強い波など、その場面に合わせた感情を込めて演奏することで、聴衆にストーリー性を感じさせます。
- 音の向かう先を意識する:フレーズの中で、音がどこに向かっているのかを常に意識しましょう。目的地に向かう波の動きを感じながら演奏することで、より自然で立体感のある表現が可能になります。
テクニックと音楽の一体感
審査員は技術面だけでなく、演奏全体の音楽性も重要視します。「波のアラベスク」では、指の動きやリズムの正確さに加え、それが音楽全体とどう調和しているか、という点が大切かと思います。
ポイント
- 左手を安定させる:左手のリズムをしっかりと安定させ、右手のメロディーを自然に浮き立たせましょう。左手が土台となり、右手の美しい旋律が際立つことで、演奏に深みが生まれます。
- クライマックスの音の厚み:クライマックスの部分では、ただ物理的に強く大きな音を弾くのではなく、雄大な海や自然の偉大さを感じさせるような深みのある力強さを意識しましょう。曲全体の流れを感じさせながら、音の厚みを持たせることで、より豊かな音楽性をアピールできるでしょう。
このように「波のアラベスク」は短い曲ながら、その中に多くの音楽的要素が詰まっています。技術と感情をバランスよく取り入れることで、審査員に感銘を与える演奏となり、コンクールでの高評価につなげることができるでしょう。
波のアラベスクの難易度に関する総括
いかがでしたか?「波のアラベスク」の難易度は中級レベルで、早ければ小学校2年生からでも挑戦できる曲です。しかし、音楽的な表現には技術面以外の難しさもあり、演奏者の人生経験が増すほど、より豊かな表現ができるという側面もありそうです。そのため、子供から大人まで幅広く演奏される魅力的な曲といえます。
最後に、記事のポイントをまとめます。
記事のポイント
- 波のアラベスクの難易度は技術的には中級レベル
- 目安として、チェルニー30番を半分程度習得していることが望ましい
- 小学生低学年から高学年まで幅広く演奏される曲
- 自然な波の表現が難易度の高いポイント
- 転調や臨時記号が多く、譜読みが難しいことがある
- 発表会やコンクールでも演奏効果が高く人気がある
- ペダルの使い方に注意し、音のクリアさを保つことが大切
- 音の方向性やフレーズ感を意識することで立体感を出す
この記事を書きながら、小学生の時に「波のアラベスク」を演奏した記憶がよみがえりました。内気だった自分が、人前で音楽を表現する喜びを感じたあの瞬間は、今でも特別な思い出です。あれから約20年が経ち、まだ何も知らなかったあの頃と、時に荒波にも揉まれてきた(?)現在の自分がこの曲を演奏したらどう変わるのだろうかと考えると、興味深く感じます。
ぜひもう一度、演奏してみたいと思います。
「波のアラベスク」は、まるで人生の流れを象徴するかのように、美しさと刹那を感じさせる曲です。皆さんも、ぜひ自身の経験や想いを重ねながら、演奏してみてはいかがでしょうか。
また、同じく小学低学年から挑戦できる曲として、湯山昭の「ポップコーン」についても以下の記事にまとめています。選曲の参考になれば幸いです。
関連記事: